2019.09.25
9月24日 火曜日 兼六建設では、社内現場見学会が開催されました。
現在、金沢城公園にて鼠多門、鼠多門橋の復元工事を行っており、
鼠多門を津田所長に、鼠多門橋を池田所長にそれぞれの現場を
案内していただきました。
外観は全てシートで覆われています。これから地下の方へ下るように中へ入っていきます。
中に入ると、門付近の石垣がありました。
上の写真で、上部(新しい石材)と下部で石垣の色が違うことが確認できます。
発掘調査により確認された石垣(下部)はそのまま残し、使用しています。
何百年も前のものが、崩れることなくそのままの形で残っていること、
そして、その美しい姿を見ることが出来たことにとても感動しました。
新しい石垣は、伝統的な空積み工法で復元しています。
発掘により礎石も発見されたので、こちらもそのまま残しています。
また、遺構保護と構造の安全性確保のため、見えない所で鉄筋コンクリートの基礎や鉄骨などで補強しています。
通路部の梁はケヤキと鋼材の組み合わせです。
今見えている仮設の部分がちょうど1階の床となります。
今回の復元工事では、櫓の入口にスロープ、緩勾配の階段や階段昇降機を設置していますので、
車いすの方や、坂道や階段の昇り降りが負担な方にも、快適に過ごせる空間になるよう工事を進めています。
完成後、ぜひ体感してみてください!
2階部分にやってきました。
柱と梁は松の木を採用し、木の特性を活かした継手・仕口によって、
金物に頼らずに耐力を生み出す伝統構法が採用されています。
~追掛大柱継~
角材と角材を継ぎ足して接合する方法。
相対する部分の接合面に勾配と段差をつけて合体させ、側面から貫通させて埋め込みます。
壁は竹小舞の土壁となっています。
縦横の竹の骨組みに丁寧に縄を編んいきます。
そこに土を投げつけるようにして形成して、土壁が作られます。
↑ 上の写真が実際に使われている土です。
伝統構法は構造そのものに美しさがあります。
地震に対しての考え方は、伝統構法は免震的構造と言われています。
地震の揺れを各部で吸収して、地震のエネルギーが建物に伝わり難くした構造です。
壁は土壁が壊れることで外力を吸収します。木組だけで固められた構造体は、
強い外力が加わって柱が石から外れ傾いたとしても、壊れることはありません。
一般公開されている見学台からの現場の様子です。
写真だと網が邪魔になって分かりにくいのですが、実際はもっと見やすいです。
現在は、主に外の工事を中心に行っているそうなので、間近で職人さんの技術を見学することができます。
見学台はバリアフリー対応となっていて、スペースも広く、多くの人が見に来ていました。
敷地内の工場にやってきました。見学台から見える屋根の部分の鉛です。
木材に鉛を合わせたものを持たせてもらったのですが、ずっしりと重くてビックリしました。
こちらも職人さんが一つ一つ丁寧に加工しておられました。
次に、鼠多門橋の方へやってきました。尾山神社と鼠多門を結ぶ橋です。
尾山神社側からちょうど半分、橋が出来上がったところです。
夜はライトアップされるそうです。とても楽しみですね!
高欄や床板を木材とし、構造に使われている鋼材を木材で覆い化粧を行うことで、
木造により復元される鼠多門と調和するようにしています。
涼しくなり、夏ももう終わったと思っていたのですが、尾山神社の所で蚊に4ヵ所も刺されてしまい、
痒かったです。(水があったから?)見学の際は、虫除け対策もお忘れなく。
二度と見ることができない歴史的建造物の工事現場の裏側には、お互いに声を掛け合ったり、
明るい笑い声が聞こえてきたり、ひたむきに作業に取り組む職人の方々の姿がありました。
~完成パース~
石川県金沢市「歓びの空間を創造し、信頼ある建築物をお客様に提供する」兼六建設